アクアポニックスで酸素が持つ役割

アクアポニックスでは魚、野菜、微生物のそれぞれが呼吸しており、酸素が必要です。呼吸では水に溶け込んでいる酸素を体内に取り込んでいるため、何もしなければ水の中の酸素は徐々に減っていきます。水中の酸素が不足すると、魚の窒息死、野菜の根腐れ、生育が遅くなるなど影響が出てしまいます。そのため、水中の酸素量は大事な管理項目です。

今回はアクアポニックスの水質管理項目である「酸素」について解説します。

目次

アクアポニックスで酸素が持つ役割

植物にとっての酸素

植物は茎や葉から酸素を吸収するだけでなく、根からも酸素を取り込んでいます。根の周辺の酸素がなくなり窒息すると「根腐れ」と呼ばれる症状が起き、野菜が枯れてしまうことがあります。植物が育ちやすい土はよく団粒構造になっているといわれますが、団粒構造の土は土と土の隙間に空気が多く含まれており根が酸素触れやすい環境になっているのです。

水耕栽培で根腐れが発生する原因は酸素不足

アクアポニックスや水耕栽培で根腐れが発生してしまう原因として、水中の溶存酸素不足があげられます。アクアポニックスでは植物だけでなく、魚や微生物も酸素を消費するため栽培設備によっては水の中の溶存酸素量が少なくなることがあります。

アクアポニックスでは溶存酸素をできるだけ高くする

水に空気を取り込ませるためには、エアーポンプや循環ポンプで水を循環させて曝気させることが大切です。水に溶けている酸素は溶存酸素と呼ばれ、DO(Dissolved Oxygen)とも呼ばれます。アクアポニックスを健全に稼働するためにはDOのレベルを5~8mg/Lに維持することが適正といわれています。十分な酸素の供給が根腐れを防止し、水に含まれている栄養を吸収しやすくするため植物の成長がよくなります。ただし、自宅などで行うアクアポニックスでは溶存酸素量の把握が困難なため、水槽のサイズにあったエアーポンプや適切な循環ポンプの利用が大切です。

魚にとっての酸素

魚にとっても酸素は生命を維持するために必要なものです。魚は常に新しい水をエラに触れさせ、水に溶け込んでいる酸素を体内へと取り込んでいます。魚種によって差はありますが、水に含まれている溶存酸素量が3mg/L以下になると酸欠になりやすいといわれています。

微生物にとっての酸素

アンモニアを亜硝酸、硝酸へと変換させる硝化細菌にとって、溶存酸素濃度は硝化効率に大きく影響を与えます。溶存酸素量が2mg/Lを下回ると硝化効率は下がりはじめ、1mg/L以下では大きく効率が低下します。アンモニアや亜硝酸は魚にとって非常に有毒です。硝化効率を維持するためにも十分な曝気または水流の維持で溶存酸素量を多くすることが肝心です。

水温によって溶存酸素量は変化する

水に溶ける酸素の量は水温によって変化します。水は水温が低いほど多くの酸素を保持でき、逆に水温が上がると保持できる酸素量が低下する特徴があります。つまり、夏場のアクアポニックスでは水温が高くなり飽和溶存酸素量が低下するので、高密度での養殖や多くの野菜の栽培は酸素不足を引き起こす危険性が高まります。通年十分に酸素が供給できるような設備構成にしておくことが大切です。

アクアポニックスで必要な酸素を供給するポイント

ここまでアクアポニックスにおいて酸素の重要性を説明してきました。溶存酸素量はセンサーを用いてモニタリングも可能ではありますが、アクアポニックスでは設備を計画する時点で酸素が水に含まれやすい設計にすることが推奨されています。設計する際のポイントは次の通りです。

  • 水が滞る場所がないように水流を調整する
  • 水を空中から落下させることで酸素を取り込ませる
  • 狭い水槽で魚を過剰に飼育しすぎないようにする
  • 水槽の大きさに合わせた曝気をする
  • 水温が上がりにくいようにする(遮光等)

これらのポイントに注意してアクアポニックスを設計することで、運用時の酸素不足を回避できます。ご自身でアクアポニックスを計画する際には酸素が十分取り込める環境になっているかよく検討するようにしましょう。

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